経営者向けレポートで大事なこと
経営者向けのWebレポートは、専門用語を使わず、見る数字を3つにしぼり、1枚目で「良かったこと・悪かったこと・次にやること」が分かるように作ります。担当者向けのレポートと同じ作り方をすると、数字と用語が多すぎて、判断に使われないまま終わってしまいます。
担当者向けと経営者向けでは、レポートの役割が違います。
| 担当者向け | 経営者向け | |
|---|---|---|
| 目的 | 細かい改善点を見つける | 続けるか・変えるかを判断する |
| 見る数字 | クリック率・表示回数・クリック単価など多数 | 申込件数・申込1件あたりの広告費・申込率の3つ |
| 言葉 | 専門用語のままでよい | 言い換える |
| 1枚目 | 数字の一覧 | 良かったこと・悪かったこと・次にやること |
| 読まれ方 | 担当者が読む | 社内のほかの人にも回る |
経営者向けのレポートは、社内の会議資料としてほかの人に回ることがよくあります。私たちが出すレポートは、A4横の PowerPoint と PDF にしています。印刷しても、そのまま会議で配っても読める形にするためです。
1枚目は「良かった・悪かった・次にやる」
1枚目には「良かったこと・悪かったこと・次にやること」の3つだけを、それぞれ1〜2行で書きます。経営者が1枚目だけを読んで判断できれば、2枚目以降は必要なときに見てもらう参考資料になります。
書くときのポイントは次の3つです。
- 良かったことから書く:うまくいった点を先に書くと、次の打ち手の話に前向きに入れます。
- 悪かったことは理由と一緒に書く:「表示の費用が上がった。同じ時期に競合の広告が増えたため」のように、分かっている理由を添えます。理由が分からないときは「理由は調査中」と書きます。
- 次にやることは具体的に書く:「改善する」ではなく「反応の良いバナーに予算を寄せる」のように、何をどう変えるかまで書きます。
見る数字は3つ。順番を決めておく
経営者に見せる数字は、申込件数・申込1件あたりの広告費・申込率の3つにしぼり、毎回この順番で並べます。順番を固定すると、経営者は毎月同じ場所を見るだけで、良し悪しを判断できるようになります。
| 順番 | 数字 | 経営者が知りたいこと | 計算のしかた |
|---|---|---|---|
| 1 | 申込件数 | 成果がどれだけ出たか | 期間中の申込の数 |
| 2 | 申込1件あたりの広告費 | お金の使い方は合っているか | 広告費 ÷ 申込件数 |
| 3 | 申込率 | ページは申込につながっているか | 申込件数 ÷ ページに来た人の数 |
申込件数を最初に置くのは、経営者にとって最も分かりやすい成果だからです。件数が足りているかを見たうえで、かかった費用、ページの良し悪しの順に確認します。
クリック単価や表示回数のような途中の数字は、1枚目には出しません。途中の数字が良くても、申込が取れていなければ意味がないためです。実際に、クリック率が最も高かった型のページから、申込が1件も来なかった例もあります(「Microsoft Clarityの使い方」の事例)。途中の数字は、担当者が原因を探すために付録の表に入れておきます。
専門用語は言い換える(言い換え表)
レポートでは、CTR・CPA などの専門用語は使わず、意味が分かる日本語に言い換えます。どうしても使うときは、最初に出てくる場所で説明を添えます。
| 専門用語 | レポートでの言い方 | 意味 |
|---|---|---|
| CV(コンバージョン) | 申込 | 資料請求や問い合わせなど、ゴールにした行動 |
| CVR(コンバージョン率) | 申込率 | 広告をクリックしてページに来た人のうち、申し込んだ人の割合 |
| CPA | 申込1件あたりの広告費 | 広告費を申込の数で割ったもの |
| CTR | クリック率 | 広告が表示された回数のうち、クリックされた割合 |
| インプレッション | 表示回数 | 広告が表示された回数 |
| LP(ランディングページ) | 申込ページ | 広告から最初に来るページ |
| FV(ファーストビュー) | 最初の画面 | ページを開いて、スクロールせずに見える範囲 |
意味の欄は、Google 広告のヘルプの定義にもとづいています。Google 広告では、クリック率は「クリック数 ÷ 表示回数」、コンバージョン率は「コンバージョン数 ÷ 広告のクリックなどの操作の数」、平均コンバージョン単価は「コンバージョンの総費用 ÷ コンバージョンの総数」で計算します。
言い換えは、レポートの中で統一します。1ページ目で「申込率」と書いたものを、別のページで「CVR」と書くと、別の数字だと思われるためです。
数字には意味を一言添える
数字には「申込率2%=ページに来た100人のうち2人」のように、何を表しているかを一言添えます。割合や単価は、慣れていない人には大きいのか小さいのか分からないためです。
添え方の例は次のとおりです(数字はすべて例です)。
- 申込率 2% → 申込ページに来た100人のうち2人が申し込んだ
- 申込1件あたりの広告費 1万円 → 1件の申込を取るのに、広告費が1万円かかった
- 表示の費用が先月の2倍 → 同じ人数に広告を見せるのに、2倍のお金がかかった
意味を添えておくと、レポートが社内のほかの人に回っても、説明なしで読めるようになります。
合格ラインを先に決めておく
合格ラインは、レポートを出す前に経営者と決めておき、数字の横に「達成・注意・未達」を付けます。基準が無いまま数字だけを見せると、良いのか悪いのかを経営者がその場で判断することになり、話がまとまらないためです。
合格ラインは、業種や商品の値段によって大きく変わります。決めるときは、次の順で考えると決めやすくなります。
- 月に何件の申込が欲しいか(申込件数の目標)
- 1件の申込にいくらまでなら払えるか(申込1件あたりの広告費の上限)
- 上の2つから逆算して、申込率がどのくらい必要か
一度決めた合格ラインは、レポートの付録に毎回載せておきます。担当者が変わっても、同じ基準で判断できるようにするためです。
レポートの構成(ページの順番)
経営者向けのレポートは、結論 → 数字 → 理由 → 次にやること → 付録の順に並べます。経営者が知りたい順に並べると、途中で読むのをやめても判断に必要なことは伝わります。
| ページ | 内容 | 書くこと |
|---|---|---|
| 1枚目 | まとめ | 良かったこと・悪かったこと・次にやること |
| 2枚目 | 数字 | 見る数字3つと、合格ラインとの比較 |
| 3枚目 | 何が効いたか | 広告やページごとの結果。良かったものと悪かったもの |
| 4枚目 | 見られ方 | ヒートマップで、ページがどこまで読まれたか |
| 5枚目 | 次にやること | やること・担当・いつまでに |
| 付録 | 参考資料 | 用語の説明・細かい数字の表・合格ライン |
ヒートマップのページは、ページの直すべき場所を見せるときに役立ちます。「申込フォームのある場所まで読んでいる人が少ない」といった説明は、数字よりも図のほうが伝わりやすいためです。ヒートマップの読み方は「Microsoft Clarityの使い方」で紹介しています。
報告の後:打ち合わせで次の手を決める
レポートは出して終わりではなく、打ち合わせでその場で次の手を決めるところまでが1回の流れです。私たちは、2週間ごとにレポートを出して打ち合わせをし、その場で次にやることを決めています。
打ち合わせで決めたことは、日付と一緒に記録しておきます。次のレポートで「何を変えた結果、数字がどう変わったか」を説明できるようにするためです。
- 1枚目に、良かったこと・悪かったこと・次にやることがある
- 見る数字は3つで、毎回同じ順番に並んでいる
- 専門用語を言い換えている(言い換えが統一されている)
- 数字に意味を一言添えている
- 合格ラインと比べた判定が付いている
- 前回決めたことと、その結果が書かれている
よくある質問
月1回と2週間に1回、どちらがいいですか?
広告を動かしている時期は、2週間に1回をおすすめします。月1回だと、うまくいっていない広告を止めるまでに時間がかかるためです。広告を止めている時期や、数字の動きが小さい時期は月1回でも十分です。
細かい数字を見たいと言われたらどうしますか?
付録に表で入れておき、聞かれたら見せられるようにしておきます。1枚目や本文に入れると、判断に必要な数字が埋もれてしまうため、本文は3つの数字のままにします。
数字が悪い月は、どう書けばいいですか?
悪かったことを1枚目にそのまま書き、分かっている理由と次にやることを並べます。悪い数字を後ろのページに回すと、経営者が自分で見つけたときに信頼を失いやすくなります。
PowerPoint ではなく、ダッシュボードではだめですか?
ダッシュボードは担当者が毎日見るのには便利ですが、経営者向けには、まとめと次の手が書かれたレポートのほうが判断に使われやすいです。ダッシュボードの数字を材料に、レポートでは結論を書く、という使い分けがおすすめです。
まとめ
経営者向けのWebレポートは、次の5つを守ると伝わりやすくなります。
- 1枚目には、良かったこと・悪かったこと・次にやることだけを書く
- 見る数字は、申込件数・申込1件あたりの広告費・申込率の3つ。毎回同じ順番で並べる
- 専門用語は言い換え、言い換えはレポートの中で統一する
- 数字には「100人のうち2人」のように意味を一言添える
- 合格ラインを先に決め、数字の横に判定を付ける
次のレポートを作るときは、まず1枚目の3行から書いてみてください。